2009年から2年間、大学院で環境関連学を専攻するため、イギリスにやって来た私達の話 This blog is about us(U&I) coming to UK in 2009 for Environmental Study at master level for 2 years
by uk-env
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苦しい論文執筆
Iです。

完全に現実逃避でブログに逃げ込んでおりますが、今日までに、修論のtheoretical frameworkのパートを指導教官に送るという約束だったのに、夜9時になっても半分しか書けておりません。辛い…。

英国の気候変動委員会の設立目的は、to take climate change out of politics だとほとんどのインタビュイーが答えてくれました。気候変動以外にも多様な政策目標を持つ政府は、経済学でいうところの「時間不整合time inconsistency」の問題を抱えています。すなわち、政府が環境を守るために環境保全政策(例えば環境税の導入)を打ちますよ、と宣言すると、民間企業は、「ならば対策を取らねば!」というわけで(例えば)低炭素技術の開発・導入に投資します。ところが、民間企業が投資してしまってその費用がsunk costになると、政府としては、当初の政策目標であった環境保全よりも、当該政策による不利益(例えば輸出企業の負担→景気悪化とか)の方に対処するインセンティブを持つようになってしまい、環境保全政策をうつという当初の政策約束を破りたくなってしまいます。これが1回きりのゲームなら良いのですが、繰り返し約束破りが行われる場合、民間企業は政府を信頼しなくなってしまい、低炭素技術に適切な投資が行われず、対策費用が高くついてしまう、という問題です。

この、time inconsistencyの問題と、それを克服する方策として政府の権限を独立機関へdelegateするという理論は、金融政策を中心に70年代以降活発に議論されたお話で、利子率を決める各国中央銀行の高い独立性の根拠となっています。Helm, Hepburn and Mashが、この理論は気候変動政策にも適用できると主張し、英国における気候変動政策に関する独立機関の設置を提唱したのが2003年。

こうした論文は、経済学の素養のない私には非常に読みにくく…というより、いきなり本論一つ目の数式からしてほとんど理解できません。ほとんどイントロダクションとコンクルージョンしか意味が分からず、理解が浅ければ自分の言葉で書けないわけで…theoretical frameworkのパート、一向に筆が進まないのです。。

私は今年も15000 wordsなので、字数の相場観はあるつもりだったのですが、皆さん、theoretical frameworkのパートにどれくらい字数を割いているんでしょう?修士レベルの論文って、結局「新しいこと」にチャレンジすることよりも、既存の理論を正確に理解し、それをアプライできることを証明することに重きが置かれていることをより強く感じる今日この頃(1年目の時はものすごーく違和感があって、今思えば全く理解していなかった)。したがって、求められる形も、publishされている論文の形とちょっと違うわけで。元LSEの修士学生が2年前に書いた英国気候変動委員会に関する修士論文を読んでいると、いかにtheoretical frameworkが大事かというのを今更ながら痛感し、「頑張って2000 wordsは書こう…」なんてレベルの低い目標を掲げている私としては、溜め息が出るばかりです。
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by uk-env | 2011-07-10 05:44 | 大学(Sussex)
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