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2009年から2年間、大学院で環境関連学を専攻するため、イギリスにやって来た私達の話 This blog is about us(U&I) coming to UK in 2009 for Environmental Study at master level for 2 years
by uk-env
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春の芸術鑑賞レビュー
Iです。

「自粛」というキーワードがjishukuとして海外メディアでも取り上げられるようになった今日この頃。それでも、イギリス文化をしっかり味わうことも留学中の義務(!)と信じて、この春の芸術鑑賞をレビューします。

【オペラ「マダム・バタフライ」@Royal Albert Hall】
 19世紀後半の長崎を舞台とした、日本人にはなじみ深いオペラ。蝶々夫人のアリア「ある晴れた日に」が有名ですね!
 Albert Hallの良いところは、何と言ってもチケットが安いところ。Royal Opera Houseで良い席で観ようとすると£150は下らないのですが(私はそんな席で観たことはない)、Albert Hallでは、正面の程良い高さの席でも£60程度です。Royal Opera Houseの人気オペラを£60程度でちゃんと見える席で観るにはチケット発売日に狙いを定めて買わないといけないのとはかなり差があります。他方、Albert Hallでは、英語に翻訳されて歌われるためサブタイトルがなく、却って歌詞は分かりにくかったかも。
 日本文化の描き方について「?」な部分もなきにしもあらずですが、プッチーニがこれを20世紀初頭に作曲したことを思えば、彼はとても研究熱心だったんだなあと感心します。曲中に日本の民謡なども織り込まれており、楽しかったです。しかし、ストーリー自体は、サイテー男のアメリカ士官ピンカートンに遊ばれて捨てられた挙句、子供まで取り上げられて自殺する、可哀そうな没落士族の娘の話なので、ひたすら悲しい。幕の後に、ピンカートン役に対しては拍手とともにブーイングが贈られていました!ちなみに、当時長崎にはこうした居留外国人の「現地妻」になった若い女性がたくさんいたそうで。有名どころで言えば、グラバー(スコットランド人)とかシーボルト(ドイツ人)にも現地妻がいた(グラバーの現地妻が蝶々夫人のモデルという説もあり)。なのに、この軽薄な居留外国人がアメリカ人という設定になっているところに、当時のヨーロッパ人のアメリカ蔑視も透けて見えます。
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【ミュージカル「レ・ミゼラブル」@Queen’s theatre】
 マチネ(お昼の公演)に行きました。この超有名な「レ・ミゼラブル」がこんな小さな劇場で公演されているとは知りませんでした。二階席でしたが、十分に臨場感あり!子役の歌声が素晴らしく、セットや照明も非常に効果的に使われていて楽しかったです。やはり英語の歌はとても聞き取りづらいので、話の筋を予習して行って正解。
 一応、主人公はジャン・ジョルダンなんだと思いますが、彼を取り巻く人々それぞれに物語があって、味わい深いです。私は、報われない恋を嘆くエポニーヌ(銃弾に倒れて最後だけ愛する人の腕の中で死んでいくのが救い?)や、官吏としてジャン・ジョルダンと対立するも、職務と自己のアイデンティティの狭間で悩み自殺してしまうジャベールが、個人的には好きでしたね。
 隣のカップルの男性が公演中に携帯を鳴らし、それをきっかけに二人が口論を始めるというあり得ない展開に、一時注意がそがれましたが、それでも最後には思わず涙してしまう、素晴らしいミュージカルでした!

【映画「カルメン3D」@ODEON】
 映画と言えど結局オペラ。是非生で見たかったのですが、英国滞在中に上演予定がなくて断念していたところ、Royal Opera Houseの公演を録画した3D映画が今春封切られたので行ってきました。
 もちろんオペラハウスで生で観るより圧倒的に安いのは良いのですが、その分、周囲の観客の没頭感も幾分低く、ヒソヒソ声やポテトチップの袋のパリパリいう音にはゲンナリさせられました。まあ、カルメンはこれでもかと言うほど有名な曲が満載なので、3時間の上演も集中力を切らさずに楽しめましたが。冒頭の前奏曲、カルメンの「ハバネラ」、エスカミーリョの「闘牛士の歌」あたりは、聞いたことないって人はいないでしょう。
 ただ、このオペラ、私はストーリー的には誰にも感情移入できなかったですね…私の人生経験が浅いだけってことでしょうけど。アウトローなジプシー・カルメン、自信タップリの闘牛士エスカミーリョは、キャラクターとしては非常に魅力的なんですが、ちょっとアクが強過ぎる。カルメンの魔性の虜になって転落していく田舎者の兵隊ホセは、ウブさもここまで来れば立派なストーカー。まあ、特定の誰かの視点にハマってストーリーを追わず、ころころと視点を変えることができるので、そういう意味では却って面白かったと言えるかもしれません。
 肝心の(?)3Dについては、TOSHIBAプレゼンツということで技術的には素晴らしいのでしょうが、左右の耳の高さが違うが故に普通のメガネがどうしても合わない私には苦痛でした…。
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by uk-env | 2011-04-06 02:34 | ロンドン生活(London life)
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