2009年から2年間、大学院で環境関連学を専攻するため、イギリスにやって来た私達の話 This blog is about us(U&I) coming to UK in 2009 for Environmental Study at master level for 2 years
by uk-env
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春学期を振り返って(エネルギー政策)
Iです。

春学期も終了し、早いもので、サセックスでのインプットの意味での授業は、これでほぼ終わってしまったことになります(夏学期に、修論執筆のための研究方法論の授業はありますが)。

今学期受けた2つの授業のうち、「エネルギーと気候政策」の授業は大変ためになりました。まあ、考えようによっては、気候変動を仕事としていた渡英前の2年間である程度分かっていなくてはならなかった分野とも言えますが。ただ、「エネルギー」と一口に言っても理解しなければならない内容は膨大で、一学期、12回のレクチャーと8回のセミナーで十分に消化できた気は、実はあまりしていません。再生可能エネルギーなんて、それだけで一学期分のモジュールになるんじゃないかしら。ともあれ、エネルギー関連の議論を、十分深め切れなかったにせよ、幅広く入り口の土地勘を掴めた点で、とても有用でした。

特に、最終週のセミナーは楽しかった。個人的には、地震で頭が一杯で(という言い訳で)十分準備ができなかったのですが、温室効果ガスを2050年までに80%(1990年比)削減する目標に向けて英国がどのようなパスを描くべきかという議論です。まあ、学期全体の総まとめといったところ。使用したのは、英国エネルギー気候変動省が公表している2050 Web Tool。エネルギー需要側の努力と供給側の努力を組み合わせて、自分が最適と思う80%削減の道筋を描くことができます。上記は若干上級者向けというか、ある程度エネルギーに関する知識がないと難しいのですが、これをもっと単純化したMy 2050は万人にオススメです!

これらで遊んでみると、80%削減という目標がいかに野心的かが実感できます。セミナーでは、High-Techシナリオ、Deep-Greenシナリオ等、役割分担をしてストーリーに沿ったシナリオを学生が作成し、議論しました。例えば、Deep-Greenシナリオは、新設原子力やCCSを使わない。これでいくと、再生可能エネルギーに思いっきり投資したとしても、かなり需要側を絞ってやる―例えば、年間平均移動距離を減らして運輸部門の排出を減らすとか、室温を下げて暖房エネルギーを減らすとか、産業部門のエネルギー効率を大幅アップするとか―ことが必要です。ちなみに、High-Techシナリオに沿って作った私のシナリオはコチラです(私個人のポジションではありません、念のため!)。ポイントは、原子力、CCSを含め、供給側に技術を幅広く、バランス良く配しているところ。ただ、個人の「行動の変化」に期待しない(このグローバリズムの御時世、移動距離を減らせますか?室温17度でホントに我慢しますか?)という前提から出発しているので、そこをいじらないとすると、エネルギーの電化を推進し、産業部門のエネルギー効率を大幅に上げ(以上需要側)、国土の10%をバイオエネルギー生産に充てる(供給側)というような、現実的でない政策が必要になっています。

もちろん、このモデルの出来の良し悪しという話は議論の対象になり得ますが、そこを措いたとしても、こうやって試行錯誤して80%どう達成するか考えてみるのはとても面白かった。イノベーションをあまり後ろ向きに語りたくはないけれど、結局我々は今の生活の何かを諦めなくてはならないので、国民のコンセンサス形成の上で、良いツールだと思いました。このツールを使った有識者による議論もウェブ上で公開されており、そこに国民が参加も可能できる形(時間は短かったですが)になっており、興味深いです。

このモジュールの評価は、5000 wordsのタームペーパー。お題は自由に選べるのですが、教官の承認を得る必要があり。私、実は原子力発電と気候変動・エネルギー安全保障ということで教官に相談していたところに今回の地震が起きて、教官から、「タイムリーなテーマになったから、是非日本のコンテクストで書くように」という指示をいただきました。。正直言って、今はこれ考えるのまだ辛いんですけど…(福島の現場で対応に当たられている方々には、本当に頭が下がります)。でも、本当に真面目に考えなければならないテーマとなってしまったことは事実。春休み、他の課題もあるので、このテーマはもう少し寝かせてから取り掛かる予定です。
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by uk-env | 2011-03-20 08:15 | 大学(Sussex)
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