人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2009年から2年間、大学院で環境関連学を専攻するため、イギリスにやって来た私達の話 This blog is about us(U&I) coming to UK in 2009 for Environmental Study at master level for 2 years
by uk-env
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
Time/Calender...
袋叩き!?
Iです。寒さの続くイギリスですが、今週は秋学期最終週ということで、パーティ三昧です。

今日は今週最初の授業だったのですが、朝からいきなり「How are you?」に対して、タンザニア人から「I’m not fine… because of Japan!」と言われた。何のことかと思ったら、カンクンで行われているCOP16の交渉で、日本が京都議定書の単純延長は絶対に受け入れない、と発言したことが、私の思っていた以上に学生には衝撃だったようで。

その件については、その後も、メキシコ人を始めとして、「ちょっとIに聞かなくちゃいけないんだけど!」と詰め寄られ、どう説明するのが良いのか迷ってしまいました。一つの包括的な法的枠組を志向する、というのは前々からの日本のポジションで、その点何も変わってはいないはずなのですが、「ああいう言い方」は確かにこれまでしていなかった。良し悪しはさておき、今回の発言は国際社会に対してクリアなメッセージにはなったと思われます。個人的にも、中国はまだしもアメリカの入らない京都議定書の枠組みが2020年まで存続するのは受け入れがたい(日本国内向けには、「米国や中国が入らない枠組みは…」という言い方がされるけど、個人的には、アメリカの"許し難さ"は中国なんかとは比べられない)。他方で、アメリカが絶対に京都に入らず、中印が絶対量の削減を受け入れる用意の全くない中で、日本が「ああいう言い方」をしてしまうと、いよいよ国連の枠組みは機能しないという印象の強化にしかならない気も。「交渉」という観点では間違っていない策だと思うものの、一市民として、次の世代への責任という観点から言うなら、暗い気持ちにならざるを得ないのが正直なところです。というのは、alternativeが見えないから。京都スタイルの短期的絶対削減量のコミットじゃなくても、あるいはUNFCCCじゃなくても良いと思う、だけど、どうやって科学が求める排出パスを確実に達成するのか、見えないのが問題です。なお、カナダ人に、「カナダはどうなのよ。第二約束期間ができたら、第一約束期間の目標が守れないカナダはペナルティで1.3倍の削減よ!?」と言うと、「カナダはどうせ周りの国に言われるがままよ。恥ずかしいけど、国民は関心がない」とのこと。

ちなみに、今日のセミナーの内容は、これまで国家レベルに主眼を置いて議論していた政策論を離れ、個人レベルでの取組にフォーカスした内容でした。課題のリーディングは、率直に言って、コスモポリタン(気候変動は地球に対する火星人の襲撃と同じ!?)がどうのとかモラルに訴えるなんて言っても実効性なんかないじゃん!と思ってベッドにころがりながら読んだような内容だったのですが、担当教官は、stateレベルで議論するから中国や中東諸国の"実は"リッチな人達が脆弱な貧しい人達の影に隠れてのうのうとしている、という文脈で読まなくちゃダメだ、と言っており、その点では確かに考えさせられる点がありました。この点、「モラル」とか「倫理」とかいう、人間の内在的な価値観を重視する議論は、西洋文化の影響が濃いのかな、なんて思いながら参加してましたが、どうなのでしょうか。
by uk-env | 2010-12-08 09:33 | 環境(Eco)
<< York in winter 冬のお楽しみ >>