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2009年から2年間、大学院で環境関連学を専攻するため、イギリスにやって来た私達の話 This blog is about us(U&I) coming to UK in 2009 for Environmental Study at master level for 2 years
by uk-env
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大学終了!(授業)
Uです:

昨日で今期のタームが終わり、今日から、楽しい春休みに入りました♪♪

1.最後のエッセー

昨日までは、ラストスパートということで、最終週に締切のエッセーに時間を費やしていました。問は、「熱帯地域の森林減少を食い止めるために適用可能な様々な政策オプションについて検証せよ」を選びました。政策分野としての土地勘もないため手探りでしたが、
(1)今も進む森林減少は、農地開墾・薪利用(アフリカ)、木材輸出のための伐採(南アジア)、道路等のインフラ整備のための伐採(ラテンアメリカ)などが主な原因であり、単に機会費用の観点から森林保全よりも森林減少の方が儲かるという「市場の失敗」によるもの。
(2)このため政策介入が必要となるが、4つの政策オプション(土地規制、貿易制限、教育などによる間接介入、市場メカニズムなどの直接介入)のいずれも効果性・効率性から見た場合、完全とは言えない。
(3)よって、(i)地域の原因に的確に応じたポリシーミックス(例えばアフリカでは教育と開発支援、アジアでは貿易制限と規制、アフリカではREDDなどの市場メカニズムと規制)が必要であり、(ii) また、いずれの政策にしてもガバナンスの強化:政府による最適な政策マネージメントと森林所有権の適切な割当が重要であり、(iii) さらに、潜在性の高いREDDのルール作りに当たっては、炭素リーケージの防止と地域ガバナンスの強化のため、CDMのようなプロジェクトベースではなく国ベースとし、コミュニティ・NGO等への利益分配などを通じた協働によりコスト削減にもつながる形でMRVを行うなど、持続可能な森林経営を推進するメカニズムが必要である。
とまとめました。(英語版のエッセーはコチラ

今後の趨勢としては、REDDに+がどんどんついていく(森林のシンク機能、持続可能な森林経営⇒REDD+ 生物多様性、貧困解消などの持続可能発展⇒REDD++)方向、木材輸入・消費者(国)責任が求められる(外部性の内在化:木材収支の均衡、輸入量に応じた植林を義務付ける、開発権取引など)のがあるべき流れかと思いますが、一方、日本は世界でも有数の木材輸入大国ですので、そのイニシアティブが益々問われてくると思います。
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似た話としては、クロマグロのワシントン条約への掲載(国際取引の禁止)提案がその8割を消費する日本などの反対により見事否決に持ち込まれ、首相・農相も安堵、というニュースが出ていましたね。この点、国際取引しか禁止されないため、提案国モナコも所在するEU内での取引は妨げられず、実質的な囲い込みにつながる、いきなり絶滅危惧種の保存手法を用いるのではなく、まずは国際的な漁業管理により漁獲調整を行うべき、など様々な論点があり、単純にこの提案への反対を環境的にネガティブと捉えるのは早計ですが、少なくとも、誰が国内消費に起因する国際海洋種の絶滅防止に責任を持つのかは議論する余地があるように思えます。
(余談ですが、ロンドンにいると、この手の、日本人がマグロを食べ尽くす、という話によく遭遇します。これに対しては、アメリカ人が牛を食べるを止めて、イギリス人がポテトを食べるのを止めるようなもの、と言うと大抵納得し、また寿司はヘルシーだから好きだ、という話も同時にされるので、彼らがどこまでマグロに本気なのかは、よく分かりません。)
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最後に、採点対象となるこの3000字のエッセーというのは長さで言う所の「帯に短し襷に長し」、ではないですが、言いたいことは決して全部言えず、細かい論評はできず、と表面をサラッたような印象になりがちです。日本語だともう少しましに書ける気がしますが、短い単語数を使って身がギュッと詰まった文章を書いたり、口で言えたりする技術、欲しいですねぇ。

2.LSEの授業

何はともあれ、Michaelmas Term (秋から10週), Lent Term (春まで10週)の計20週に渡って行われた授業がすべて終了しました♪ 後は6月の前半にある試験(手書きのエッセイを3×2+2×2=計8本)を受け、8月末に10000字の論文提出をするのみです。

授業全体の感想としては、(特に今期の後半に入ってからは)あっ、という間に終わってしまった感が強いです。何かがたくさん身についたようで何も身についていないような...しかし、仕事をしていた時よりも考える視野が広がったのは間違いないでしょう。答えは誰も持ち合わせていない命題ばかり(経済発展&人口爆発と環境、生物多様性、森林減少、気候交渉、技術革新と社会変化)でしたが、それを考える素地はできました。また、アフリカを除く全大陸から来た友達のおかげで、世界観が広がったのも良かったです。
これからは、このインプットを試験に向けてはアウトプットできるようにトレーニングし、論文の機会を生かして、自分なりのアウトカムを出せるようにすることが大切だと思います。そして、卒業生が仕事の現場でもLSEのこの環境政策コースの議論が最先端を行っていたことが分かりで大変良かった(今でもリーディングリストから本を読んでいる)、と言ってましたが、まさに日本に帰ってからどう生かせるかが本番かつ正念場ですね。

また、個別の授業のうち、特に良かったプログラムとしては、①環境政策(うち各政策手法;政策評価;ゲーム理論)、②サステナビリティ(うち経済発展;人口問題;生物多様性;森林;技術革新)、③環境アセスメント(うちSIA戦略アセス;RIA規制影響分析;MCA複数基準分析;スターンレビュー)④環境経済分析(うちCBA費用便益分析の方法論)が挙げられます。

逆にこれはあまり自分に合わないかも(何の役に立つんだ)、と思ったのは、①環境政策(うち環境倫理;環境正義)でしょうか。

3.春休み

楽しい待ちに待った春休み。友達も今日から、早い人間は今週頭から既に帰省したりしていますが、日程的には今日から4月26日まで。ただ、6月のテストまでは基本何もないので、好きに動けます♪

(テスト対策)
が、テストに向けて授業の見直しとエッセー準備が求められましょう。特にエッセー準備法則に従った場合、全部で28題の準備をする必要がある計算になり、計画的にやらない(例えば毎週4題)と到底終わらなそうです。ということで、4月中旬からはスタディグループのメンバーと毎週集まり、テスト準備を一緒にやっていこうと思っています。

(インターンシップ)
また、来週からは前に予告したインターンシップがスタート(テスト準備期間中いっぱい)します。これは、環境に関するリサーチ・コンサルティングの会社で、再生可能エネルギー市場調査として、各国の政策や技術、市場をインディケータ化し、世界のどの国が民間投資を行う上でより優位と言えるか、ランキング化できるようなリサーチをしたいと思ってます。Regression model や sensitivity analysisのいい勉強になると思います。

(旅行)
最後に、もちろん、テスト準備が本格化するまでは息抜きも兼ねて、旅行(仏・西)にも行ってこようと思います♪
by uk-env | 2010-03-20 14:01 | 大学(LSE)
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